茶道と武道は、歴史的に関わりがあるだけではなく、その精神やお稽古にも共通するところがあります。
私は、茶道と華道ばかりしており、柔道、剣道、合気道など日本武道はどれひとつ経験がないのですが、「試合のない武道」「争わない武道」と言われる合気道に興味を抱き、近くの教室に見学に行ってきました。
合気道京都・西陣道場
海外での指導経験も豊富な岡本先生が道場長を務めていらっしゃる、合気道京都。
ゲストハウス木音さんのお隣の小さな路地に、道場があります。
なかなか普段入ることのない路地なので、西陣に生まれ育っている私も気づきませんでしたが、道場の前には自転車がたくさん並んでいました。
中に入る前から、既にお稽古の、受け身のバーンという音が聞こえていて、迫力があります。
外国人もよく通っておられると近くのカフェでお噂を小耳にはさんでいたのですが、予想以上に、たくさんの外国人の生徒さんがおられて驚きました。
恐らく、生徒さんの半数近くが外国人。
合気道の修行のために来日されている方や、留学生もおられるそうです。
道場のマナー
茶室や町家にしきたりやしつらえがあるのと同様、道場にも、マナーがあります。
靴を脱いだらまず、床の間の方に向かって一礼して入場します。
床の間には、開祖・植芝盛平先生(1883-1969)のお写真とお花、「自然合道」のお軸がかけられていました。
植芝盛平先生の精神を受け継ぎ、大切にされていることがわかります。
見学中も、手は揃えて、腕組みはしてはいけません。
その他細かなルールはまったく知らなかった私ですが、茶室での座り方に準じて、正座で手をそろえて見学させていただきました。
岡本先生、指導されている後ろ姿も、素敵です。
合気道の稽古
練習は、師範が型の見本を見せられ、その後、生徒は2人組になって何度も技を練習します。
関節技が主のようです。多分、手首をかなり鍛えなければいけませんね。
合気道の精神と茶道
合気道は、開祖・植芝先生の生没年からもお分かりいただけるように、日本武道の奥義を極め、精神修行を経て開かれた、現代武道です。
私は、以前「演武会」を見たことがあるのですが、それを見ると「争わない武道」「和合の精神」を目指しておられるもの、ということがよく分かります。
確かに、試合ではなく、武術の型の披露であり、見ていて美しいものでした。
それでいて、味方が自分一人でも、多数の人からの攻撃をかわすことのできる技でもあり、興味深いです。
「和合の精神」は茶道の精神でもあり、共通するところがあるように思います。
また、お稽古も、全然種類が違うとはいえ、型を覚えることによって鍛錬する、お互いを尊重する、というところも似ていますね。
お稽古中の道場を見学させていただき、貴重な経験をさせていただきました。
茶室とはまた違う、気迫のある雰囲気に圧倒されました。
時々、自分が毎日関わっている茶道以外の日本文化に触れると、とても新鮮な気持ちになります。
日本武道に関わっている方も、また違う世界の茶室に入ると、新鮮な気持ちになれるかもしれませんよ。