古都 茶会記

気軽に楽しめる茶道と京の徒然

観光と伝統文化 サービス提供側・一京都市民の本音

最近、京都をきもので歩いている人が増えました。

特に、八坂神社近辺は多くなったと聞きます。しかし、彼らは、たいてい京都市民ではなく、外国人観光客や、京都に来られた若い女性の観光客の方です。

彼らが歩いているのを見て、「やはり京都はきものを着ている人が多いですね。」という観光のお客様もいらっしゃいます。

しかし、そのきものは、ほとんど京都の人が実際に着るきものとは違うものです。

 

 

 

化繊のきものと正絹のきもの

 

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観光客の方に大人気のきもの体験。相場は3000円のようです。

この金額だと、たいていは正絹(シルクのほんもの)ではなく、化繊(ポリエステル)のきものをレンタルする場合です。

化繊のきものは、洗濯機で洗うことができるので、体験用や着付け練習用としては大活躍ですね。

勿論、着心地は正絹とは全然違いますが、汚れても汗をかいても、すぐ洗えるのは安心です。

 

 

 

 

半幅帯と名古屋帯

 

 

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帯も、きものを普段着として着るときに普通しめる、「名古屋帯」ではなく、半幅帯です。その名の通り、幅が半分で、カジュアルな帯です。

私は、普段、半幅帯はしません。どちらかというと、ゆかたや夏の暑い時にしめるイメージがあります。お茶席では、真夏のお稽古の時に夏きものの上からしめることはありますが、正式なお茶席ではしめません。冬にあえて半幅にするというのは、周りの京都在住者では見たことがありません。

 

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しかし、観光の方は、真冬であっても、名古屋帯は珍しく、基本は半幅帯のようです。

見ていてとても寒そうなのですが。カジュアル、気軽、何より、サービス提供側にとっては、枕や帯揚げ・帯締めも不要なので短時間で多人数着せられるというのが良いところなのだと思います。

 

 

 

 

 

最近、色がますます原色系になっているレンタルきもの

 

 

外国のお客様は、特に大柄の和柄、華やかな和柄を好まれると伺います。

渋い色目のは良さが伝わりにくいようです。

私も、パステル調の薄色の色無地など好きですが、最近の「現代きもの」と言われるものは、もっともっと原色系のプリントカラーが多いようです。

はんなりとした色のきものを目にすることは、少ないです。

半襟も縞々など、すごいことになっているなぁと思います。

 

しかし、きものを並べて「どれがいいですか?」と外国のお客様にお尋ねすると、たくさんある化繊のプリントきものの中から、少数混じっていたアンティーク正絹きものを選ばれたと、聞いています。

選択肢を提供すれば、必ずしも外国人だからと言って、原色系の大判柄を選ばれる訳ではないので、私たちの間違った思い込みである可能性もあります。

 

 

 

 

 

お客様のニーズに合わせる「観光」と、伝統文化

 

 

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観光のお客様は、京都に滞在される時間が限られています。

その中で、どれだけご希望に応えて、おもてなしできるか?と考えれば、長々と時間を掛けて自分の伝えたいことばかりしてもいけないし、質の高いことをしたいからといって高額になりすぎるのも、ご希望に添えない結果になってしまいます。

しかし、「まずは楽しんでもらえれば、それで良いから」ということで価格競争・コストダウンを追及すれば、本物とは違う商品・サービスができあがってしまうのも事実です。それが新しい文化なのかもしれませんが、伝統的な仕事とは違うもので、いつの間にか、それが主流商品・サービス化していっているように思います。

それでいいのかなぁ?と思います。

 

茶道体験に関しても、サービスを提供する側として、日々難しさを感じます。

茶道体験といっても、お客様のニーズは色々です。

本物の質をできるだけ維持したいと思って、季節ごとに茶道具をそろえても、茶席菓子を用意しても、「初心者には要らない、外国人には要らない」「それよりコストを下げてほしい」というニーズもあります。私は、季節感は非常に大事な茶道のポイント、日本文化だと思っているのですが。

 

 

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京都では、外国人観光客が自分で初めて点てた抹茶だけ飲んで帰るカジュアルなプランが多いので、本当の薄茶の味を体験できるプランを作ろうと思っても、「お客様は、どんな抹茶であれ楽しんで帰ってるからそれでいい。」「コストも安い方がいい」というニーズもあります。

 

blog.teaceremony-kyoto.com

実際、外国人や観光客の方に魅力に映るのは、細かいことより「立地」や「当日予約の取りやすさ」らしいです。

勿論、少し高くても本物にこだわりたい外国人観光客の方も多いですが、

時には、自分が積極的におすすめではないことも、提供しなければならない。

コスト面と、お客様の好みと、伝統を維持することのバランス。

とても難しいです。