今週のお題「お気に入りの一着」
京都の西陣織は、帯が有名ですが、「御召し」という種類のきものも、織られています。徳川家斉公がお好みになったことから、このような名前がついています。
「西陣御召し」とも呼ばれます。
とっておきの一枚は、西陣御召しのきもの。
地味な色合いですが、地味だからこそ、いろいろな着こなしができる1枚です。
御召しとは?
きものには、様々な種類がありますが、「御召し」は、先染めのきものに分類されます。先染めといえば、代表的な種類は紬のきもの。どちらかというと、カジュアルなおしゃれ着になるのですが、御召しは、その中でもちょっと特別です。
お召は、先に生糸を精練し、さらに、その絹糸を先染めしてから織り上げますので、さらりとした着心地、しなやかな生地になります。
さらに、そのお召しの中でも「縫い取り御召し」はもっと特別です。
また、縫い取りというのは、写真にありますように、刺繍のような模様ですが、刺繍ではなく、織物組織になっています。そのまま生地に織り込んであるので、厚みがなくさらりと軽い着心地になります。
先染めのきものですが、落ち着いた文様や無地に近いものなら、礼装としても着られる、特別な種類と考えられています。
きもの一枚に帯三本
このような地味な色合いのきものは、帯で季節感を出したり、様々に雰囲気を変えたりすることができます。
花喰い鳥の、薄い桃色の帯と合わせると、春らしく、かわいらしくなります。塩瀬の染帯です。
こちらは、金地に櫛の織の帯。インパクトのある帯なので、これでだいぶ華やかになります。薄い緑の西陣御召しに合わせると、柄がとても映えます。
最後は、黒地に唐花模様の帯を合わせます。これなら、お客様としてちょっとしたお茶席に参加することもできます。
ちなみに、紋を入れたいときは、御召しは先染めなので、白抜き紋が入れられません。縫い紋を入れることになります。
帯合わせによって、いろいろな着こなしができる、とっておきの一枚です!