最近、京都ではゲストハウスが増え続けていると思います。
一番よくあるのが、町家一棟貸し形式の民泊です。
オリンピックまでは、外国人観光客が増え続けるだろうという予想から、今が好機!と投資をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
地域格差1 条例の厳しさ
インターネットで「民泊 大阪市」と検索して出てくることと、「民泊 京都市」で出てくることは、大きく雰囲気が違うようです。
そもそも、民泊を継続的な業として行う場合には、正式には旅館業の登録が必要であり、火災保険や様々条件を満たさなければならないということが発生するのですが、大阪では「規制緩和」の動きが強い一方、逆に京都では、「規制強化」の傾向があります。
地域格差2 周辺住民の目
さらに、何と言っても京都で厳しいのが「住民の目」でしょう。
隣のマンションの一室や家が民泊になっていて、外国人が出入りしていたら、管理者にクレームが来ることは間違いないのではないでしょうか。恐らく・・。
なぜなら、京都生まれ京都育ちの地元の私が、金閣寺付近で新しく「茶道体験」のお店をオープンし、特にお客様の出入りも少なく、時には誰も来ない日もあったりする状態だったときでさえも、周りからは冷たい対応をとられたことも多々あったからです。
普通に仲良くできた人もいましたが、そういう方は周りの新規業者さんだったりで、ちょっと新しいモノがはいってくると、京都在住であろうと無かろうと、親密な知人からの「紹介」がない限り「よそ者」に変わりは無いのです。
お店の物件探しをしていた時に、空き家を見に行った時も、この「冷たい視線」は何度も経験しました。
ちょっと観光地に近いところはまだ良いけれど、住宅街の中の町家などは、周囲の新参者を見るしら~っとした目が恐ろしく、私はその時点ですぐ物件候補から却下しました。
民泊用にリノベーションOKな空き家を探すとしたら、そのような住宅街の中の物件も候補に挙がってくるかもしれませんが、周囲の目は絶対にチェックすべきですよ。
京都で民泊は増えるのか?
そうは言っても、ホテルより安く泊まれて、町家に泊まるという楽しみもあるとなれば、京都の民泊も需要があると思います。
現在、大半の民泊は条例違反状態らしく、京都市は「適法な民泊リスト」をホームページに掲載までして規制強化を図っているようです。
きちんとしたおもてなしをするのが京都だというのが規制強化の理由だそうです。
しかし、規制が追いつかないくらい、民泊は今後増え続けるのではないかと思います。
私たちが思う伝統的なおもてなしと、外国人目線が少しずれていることもあります。適法か違法か、資格があるかないかについては、一見さんの外国人観光客は、あまり気にしてないと思います。また、周りの観光に関わる日本人も、毎日を「さばいていく」ことに精一杯で、そこまでクオリティや伝統文化という視点を気にしているわけではないと思います。
京都市の目指しているような、適法な「おもてなし」、クオリティの高いおもてなしを実現したいと、私も心から思って日々活動していますが、現在の状況を見ていると、既に観光客増加のスピードにクオリティが追いついていないところも多々あるように思います。
民泊にしても、茶道などの文化体験施設にしても、短期的に「とりあえず喜んでもらえたらそれでいい」というところだけでなく、衛生面・安全面や、伝統文化を正しくお伝えするという視点は、大切にしなければならないと思います。