朝晩、だいぶ涼しくなってきましたね。
明日から9月。重陽の節句やお月見、敬老の日など行事がたくさんあります。
9月9日の重陽の節句は、桃の節句や端午の節句に比べるとあまり知られていないと思いますが、「菊の節句」とも言われ、京都では、多くの神社で行事が行われます。
重陽の節句
9月9日の重陽の節句は、一番大きな奇数が重なる節句です。
上賀茂神社など、京都の神社では、菊酒が振る舞われ、不老長寿と厄除けが祈願されます。
菊酒は、見た目にも美しいだけでなく、菊の香りも楽しめる風流なお酒です。
もちろん、神社でいただくと、大いに御利益をいただけると思いますが、お家で楽しむこともできます。
食用菊を焼酎に1ヶ月つけ込む方法や、シンプルに日本酒に菊の花を浮かべる方法など、いくつか作り方はあるようです。
ワイングラスに菊をひとつまるごと入れるのもお洒落ですね。
菊のいけばなを飾る
床の間がなくても、菊のいけばなを生けてみてはいかがでしょうか。
こちらは、白菊の格花です。茎に細い針金を通して形を作っています。
気軽に生けるには、ちょっと難易度が高いです・・・。
はじめての方が、お家で気軽にいけるなら、自由花や個性盛花がおすすめです。
糸菊・米ツツジ・シダ。
米ツツジで一番長いライン(体)をとります。長さは花器の直径の2倍+深さ。
一番長いラインの3/4(用)も米ツツジでとります。
一番長いラインの1/2(副)に、糸菊を入れ、シダで間合いをとります。
難易度は少し高いかも知れませんが、筒に投げ入れをすることもできます。
菊にもいろいろな種類があり、ピンポン菊はまるくて、とてもかわいらしいですね。
菊の和菓子と着せ綿
和菓子は、こんなかわいらしいピンクの菊や、
伝統を感じる「着せ綿」もあります。
着せ綿とは、平安時代から重陽の節句に行われていた行事で、「紫部日記」にもその記述をみることができます。重陽の節句の前夜に、菊の花に真綿をおおっておき、 翌朝に夜露に濡れて菊の香りがうつった綿で顔や体をぬぐうと、不老長寿の効果があると信じられていたのです。
「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて 花のあるじに 千代はゆづらむ」
(菊の露に 少しだけ若返るように 袖を触れて、あとは この花の送り主様に 千年の寿命はお譲りしましょう)
紫式部が、着せ綿を送って下さった藤原道長の妻・倫子に感謝して、身分不相応な自分は遠慮して送り返そうとした・・・というのがストレートな読み方のようですが、実は「私はまだまだ若いので、着せ綿は少しでかまいません、あなたの方が必要でしょう。」という意味の歌だとも言われていますね。
何とも意味が深い、宮中での戦いが垣間見える歌ですね。
ちなみに、着せ綿は、白菊には黄色、赤い菊には白、黄色の菊には赤を着せるようです。
菊の抹茶盌で菊尽くし茶会
紫交趾の白菊は、京都の西川貞三郎商店さんで購入したものです。
洋間や海外の暮らしにも映える、華やかな一碗ですね。
菊は、仏様のイメージが強い方も多いかと思いますが、いろんな形の菊があり、かわいらしい、華やかなデザインもあります。
好きなものを選んで。お家でも重陽の節句を楽しみたいですね!
茶道体験古都でも、明日9月1日から「重陽の節句茶会」をスタートします。