京都は、景観保存のため、看板の色など規制が厳しいことで知られていますが、世界遺産の下鴨神社にもマンションが建設されることが決まりました。
住宅街でも、古い純和風の家屋がどんどん売却され、マンションや建て売り住宅に変わっているので、どこもかしこもマンション建設流行を感じます。
その原因は・・・。
下鴨神社でマンション建設
下鴨神社は、正式名称・賀茂御祖神社(かもみお神社)。
ご神木・連理の賢木や縁結びの御利益があると言われている相生社もあり、カップルで訪れる人も多い神社です。京都で神前結婚式を挙げるには、あこがれの神社の一つです。
参道に糺の森という原生林があり、空気もよく、歩いて行くと神聖な気持ちが高まります。夏でも森に入ると涼しさを感じ、小川(泉川)も美しく、6月には毎年蛍が放され、蛍茶会が行われます。
そんな、由緒が有り、神聖な雰囲気のある、しかも全国的にも京都人からも人気のある神社で、マンション建設とは驚きでした。地上3階建ての8棟(計100戸)だそうです。
マンションは世界遺産の周辺環境と保護するためのバッファゾーン(緩衝地帯)内にありますが、すでに、建築基準法など関連法令に違反していないとして、民間の指定確認検査機関の建築確認が下りています。
マンション建設の原因 世界遺産の神社になぜ?
マンション建設が決められた原因は、式年遷宮の資金不足。資金を工面するため2008年度から募金事業を行っていらっしゃいましたが、リーマン・ショック後の景気の落ち込みなどで、当初見込んでいた企業などからの寄付が目標の半分程度しか集まらなかったそうです。
個人も相続税対策として、不動産を売却したり、マンションを建てたりしますが、神社も本業でどうしようもなくなったら、最後は不動産を動かすしか道はない、ということなのでしょうか。
マンション建設決定に対して、周辺住民らのグループ「糺の森未来の会」などが反対を表明。
私も、景観の面からしたら、反対したいところですが、神社にも式年遷宮など建物を維持しなければならない事情もあるでしょうし、難しい問題です。
建物を維持するための十分な資金が集まる策があればいいのですが。
下鴨神社だけではない、進むマンション建設 出世稲荷神社は既に移転済み
実は、すでにマンション建設が完了し、移転してしまった神社もあります。
京都の出世稲荷神社は、千本通りに面して、千本旧二条にあった神社ですが、大原に移転しました。
下鴨神社ほど有名ではない小さな神社なので、あまり知られていませんが、神社の前にあったバス停の名前が、「出世稲荷前」だったのが、今では「千本旧二条」と名前が変更されています。私は、小学生の頃からバス通学で、OL時代も毎日通った道なので、突然「旧二条」という名前が出てきて、それってどこのこと?と違和感があります。
参考 http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20160113000011
マンション建設は本当に有効な対策か?
もし、銀行に資産運用、相続税対策を相談したら、不動産を活用したアパート建設や、売却という方法も提案されることでしょう。
京都でも、空き家や廃業された織屋さんの土地に、よくアパートが建てられています。
「世界遺産のマンション」や烏丸御池、御所南など、ブランド力があったり、繁華街であったりすれば、おそらく地価も安定して、部屋の借手もあることでしょう。
しかし、少し繁華街から離れた住宅街にマンションを建てて、アパート経営をするというのはどうでしょうか?
京都といえども、今後少子化になって学生も少なくなり、かつこれだけ多くのマンションが建っていると言うことは、戸数も需要オーバーになってきます。立地が少し不便なアパートは空室が出てくるのではないでしょうか。
売却という道を選ばれた土地に、新たな買い手によってマンションが建つことも多いですが、後々同じような空室率の問題が発生するのではないでしょうか。
中国など外国人や富裕層が買ってくれる場合もありますが。
但し、この場合はセカンドハウスとしてなので、住民のいない家が増えていき、京都市にとっては良い状態なのかは疑問です。
ところで、弊店・茶道体験古都は、金閣寺から徒歩1分の古民家を改装し、茶室を整えました。
外国人観光客にも、「古い日本家屋だね」と意外に観光で入る機会の少ない、古い町家を楽しんでいただいています。
来店しなくても、外観の写真だけ撮って帰る外国人観光客もいるくらい、景観にマッチしています。是非遊びに来て下さい。