三賀日を過ぎると「初釜」のニュースを毎年聞かれるのではないでしょうか。参加者にとっては、お茶の稽古始めの日であり、新年のお祝いでもあります。
今回は、釜や畳がなくてもお家でできる!気軽な「初茶会」を考えてみました。
お家での晴れの日の食事や、お客様のおもてなしとしても、参考になりますよ。
お茶会の基本はお茶事
お茶会のメインはもちろんお茶ですが、薄茶のみのお茶会も、薄茶と濃茶と点心のお茶会も、すべて基本となるのは「お茶事」です。3~4時間かけて懐石、酒、主菓子、濃茶、干菓子、薄茶をいただきます。
お茶事にも種類がありますが、基本は「正午の茶事」で、お出しする順番が決まっています。
- 膳(飯・汁・向付):向付とは、ご飯と汁碗の向こうに置く器であり、お浸しや酢の物、お造りなどです。
- 酒一献
- 飯器・汁替え
- 煮物碗
- 酒二献目
- 焼物鉢
- 進肴(しいざかな):基本は一汁三菜、小吸物、八寸、湯斗、香物なので、なくてもいいのですが、預鉢とも呼ばれ、おすすめする場合があります。
- 飯器
- 小吸物
- 八寸と燗鍋:八寸とは、海の物と山の物を二種、木地の盆にのせてお出しするもの。お酒と一緒にいただきます。
- 湯斗、香物
- 主菓子
- 濃茶
- 干菓子
- 薄茶
点心
懐石よりも気軽に、又、大勢のお客様をおもてなしする場合によく用意されるお料理として、「点心」があります。懐石を省略した形で、弁当などで出されます。松花堂弁当や、中に仕切りがない大徳寺重もあれば、盆・お皿に載せることもあり、様々な工夫が考えられます。
(写真は、京都・山ばな平八茶屋のお料理)
正式な順番の決まりがないので、器の取り合わせやお客様の立場を考えて、決めるのが良いですね。これは、お家でのおもてなしにも最適かと思います。
お家で初茶会(点心、主菓子、薄茶)
私は、ワンルームのアパートで暮らしていた頃、素敵な器でお料理を出したくても、まずそれらを買うお金も器の置き場もない!と困りました。
結局その時は、お家のおもてなしとしては、お菓子と抹茶のみで、点心まで取り組んだことは一度もなかったのですが。
しかし、点心と主菓子、薄茶に絞って、おもてなしはいかがでしょうか。
これなら、お家で取り組みやすいのではないでしょうか。
お家でできる点心
向付:鯛の昆布締め
半月盆:ご飯、海老のだし煮、オクラ、数の子・黒豆、ブリの焼きもの、蒲鉾
吸物:蓮根餅
酒:古都(佐々木酒造)
主菓子:花びら餅(俵屋吉富)
薄茶:さとりのそら(一保堂)
半月盆にお料理を盛りつけました。
向付(むこうづけ)には鯛の昆布締め。
器は半月盆が丸みのあるカーブなので、角の向付が似合います。
黒豆の器は、織部のおちょこを使いましした。
燗鍋で一献を差し上げます。お酒は、京都・佐々木酒造の冬季限定「古都」です。普通の「古都」より甘みがあるお酒だそうです。
吸物は、蓮根餅。蓮根をすりおろし、海老やまいたけ等の具材を入れて、湯飲みを使って蒸して作りました。
主菓子は、花びら餅。俵屋吉富製。信楽焼の銘々皿にのせて。
白味噌餡は、お雑煮を見立てたものです。菱餅と牛蒡は宮中の歯固めの儀式を簡略化したものと言われています。
最後に、薄茶は京都・一保堂の「さとりのそら」。申年→孫悟空ということで、さとりのそらという御名だそうです。
唐松、宝尽くしなど、縁起の良いお茶碗を選ぶと新年の晴れの日にふさわしいですね。
懐石までつくと、何かとお道具が沢山必要になりますが、ご家族で、お茶碗一碗だけを使って、清めて点てることもできます。
きっといつもと違う晴れがましい演出にびっくりされます!
お家にあるとっておきの器を選んで、おもてなしを楽しんでみたいですね。
参考
お茶事ができる懐石レシピ 小澤宗誠・小澤宗香 淡交社
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/79/Tsukubai_Tofukuji_01.jpg
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