古都 茶会記

気軽に楽しめる茶道と京の徒然

日常から離れたいあなたにおすすめ

お茶室は、日常から離れる、絶好の場所です。

お茶室に入る前に、大切なお茶碗などのお道具を傷つけないため、腕時計や指輪などの貴金属類を外すことがマナーとなっています。

しかし、これは、お道具のためだけではありません。時を忘れ、日頃の夫、妻、独身、様々なことをいったん置いておき、非日常の空間へと入っていくためでもあります。

 

見たくないものを見なくて済む

 

 

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ブログを書き続けている私が言うのもなんですが、今や世の中は情報で溢れています。

テレビやネット、雑誌、広告など街を歩くだけでも様々な情報が嫌でも入ってきます。

もう聞きたくない。

見たくない。

そう思われたことはありませんか。

お茶碗や和菓子を見たくないと言われたら、仕方がありませんが、美術館が大好きな私にとっては、日本文化の総合芸術と言われる茶道を通して、美しい作品や季節を感じるしつらえを見ていられる空間が、とても幸せです。

お客様が着物を着てこられると、様々な美しい日本の色や文様も華やかな気持ちにさせてもらえます。

 

 

お点前や茶席の会話に集中

 

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きものを着て、異空間である茶室に入り、ピンと背筋を伸ばすと、不思議に心が落ち着きます。姿勢って大事です。

また、お点前をしているときは、集中して、他の余計なことを考えずにすみます。お客様としても、少し緊張して、お道具について亭主に尋ねたり、今日のお茶会のテーマやお道具について知ろうとよく見たりしていると、時を忘れます。

 

失恋した時に、仕事に没頭して、「仕事をしていると忘れられる」という人がいますが、お茶室はもっと好都合な場所です。

指輪もウェディングドレスの宣伝にも出会いません。

また、会話もお道具についてがほとんどなので、聞かれたくないプライベートにいきなり土足で入り込んで聞かれる心配もありません。

 

 

 

「私は大切にされている」と感じる

 

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上記2つは、日常から逃げて隠遁生活に入り込んだような印象ですが、さらに、「仕事に集中」や「勉強に集中」では得られないものが、茶道にはあります。

亭主やお客様同士でも、お辞儀をし、感謝の礼や挨拶をする機会がたくさんあります。自然とお互いを尊重しあうことができます。

 

また、一碗のお茶は、亭主が今日の日のために様々な準備をし、お道具を選び、心を込めて点てられた一碗です。目の前でお点前を拝見し、お茶が点てられる過程を見ることだけでも、何かを感じることができるかもしれません。

この感覚は、例えるなら、静かなバーのカウンター席で、バーテンダーにあなたのための一杯を目の前で作ってもらう、というシチュエーションに似ているかもしれません。コンビニや自販機では、得られないものを得ることができます。

 

茶道はマナーに厳しく、花嫁修業のお嬢様や裕福なご家庭の奥様だけがするイメージを持っている人も多いですが、それだけではありません。

私は、そんな環境とは程遠く、何にも持っていない人間です。

日常から離れたい方、辛いことをひと時でも手放したい方、お気軽にご来店くださいね。