古都 茶会記

気軽に楽しめる茶道と京の徒然

ブラック企業と気づかないまま、自主退職に追い込まれる人たち

2008年9月に起こったリーマンショック。

私が新卒の就活を終えて残りの大学生活を楽しんでいた頃、就活生の運命を分ける出来事が起こりました。

私の1つ下の世代、2つ下の世代は、新入社員の募集人数がぐっと減り、就職ができなかった人も多かったのです。

その後も数年に渡って就職に悩み、苦戦している方達もいました。

 

 

 

 

夢を実現できる場所だという期待をもたせる募集

 

 

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 「日本での研修後は、アメリカで営業として働いていただきます」

という募集を見て、英語力を活かして働きたいと応募。

そして採用されてみれば、研修という研修はとくになく、ひたすら芋の皮むきをしたり、物流で重いものを運んだりの作業がほとんど。

夜は、「飲み会のつきあいがよいこと」=「営業力」であるという論理の下、休日返上で飲み会に呼ばれる日々。

 

確かに、お酒を伴う接待力は営業に必要ですが、ただ単に同じ顔ぶれの社内の上司や先輩と毎日飲みに行くということだけでは、営業力強化にはならないでしょう・・。

 

でも、はじめて就職した社会人にとっては、そこが初めての会社。

置かれた環境が、「普通である」と思い込み、理不尽にお酒のつきあいが悪いことにより、「おまえはだめだ」と言われれば、「俺は本当にだめだ」と思い込み、追い込まれていくのです。

 

 

 

 

 

はじめから使い捨てのつもりで「仮採用」

 

 

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「研修期間」で、半年や1年は長いと思います。

研修期間経過後、何の問題も無く本採用されるのならば、半年であろうとあまり関係はないかもしれません。しかし、「あなたを見極めています。あなたの能力が不十分であれば、本採用しない可能性もあります」と言いながら半年、1年とひっぱり、軽作業などさせてひっぱれるだけひっぱったら、何と言うと思いますか。

 

 「あなたのために、新しい良いポストを用意しました。アメリカ行きは中止ですが。」

 

会社の思惑は、「もう解雇は会社からやりづらいな。本人が絶対行きたくなさそうな部署に異動を命じたら、自主的に退職してくれるだろう。」

そんなところでしょう。

しかも、ぎりぎり就職後1年以上にならないタイミングで、「この日までに君の意思を聞かせてくれ。今日は帰っていいよ。よく考えて。」

 

気をつけてくださいね。

12ヶ月以上勤めていないで辞めてしまったら、失業保険も出ません。

新入社員を使い捨てと考えているような会社は、あなたの後のことなんて一切考えません。

辞めるときは慎重にタイミングも見計らいましょう。

 

 

 

 

 

 

自分が悪かったと思い込み、自主退職する新入社員

 

 

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法律は、役に立つようで役に立たないこともあります。

会社は、法律の知識もあるので、ひっかからないように、社員自ら、会社にとって都合の良いタイミングで退職してくれるようにコントロールしていきます。

「俺が能力が低かったから、希望のポストには採用してもらえなかったんだ。別のポストで雇ってもらえるっていうだけでも有り難い話なんだろう。

でも、アメリカに行きたい夢があって働いてきたから、今更別のポストで採用は、受け入れられない。仕方ない。辞めよう。」

能力が低かったから悪いと自責して自主退職を自然にしていくのです。

 

会社としては、何も痛みはありません。

若いよく動いてくれる人を安い研修費で使えてラッキーだったな、くらいに考えているのではないでしょうか。

 

会社側からしたら、別の見解がありうるのかもしれませんが、私は知人に起こった一連の出来事を見ていて、会社のやり方が不愉快に感じました。

 

一昔前のように、「新卒で入社したら、愛社精神を持って定年まで勤める」という安定的な雇用は、本当に崩れ去っているな、と感じます。

今の日本では、転職を繰り替えすことは容易でなく、年齢が若いことも正規雇用の条件の重大要素なので、一度就職した会社を盲信せず、自分の時間を無駄にしていないか、疑ってかかる必要もあるのではないでしょうか。

「本採用予定」という夢で釣りながら、「研修期間」をひっぱる手法には要注意です。