古都 茶会記

気軽に楽しめる茶道と京の徒然

「茶道は花嫁修業」?!の意味 30年前と現在

随分昔、私は、一度だけ合コンに行ったことがありますが、趣味で茶道や華道を習っていることを話すと、「お嬢様なの?お金持ちなん?」という反応が返ってきました。

実際には、私は由緒ある茶家に生まれたわけでもなく、OLとして働いたお金を趣味に使っていたのですが。

なんだかその合コンでの反応に、ちょっとがっかりした記憶があります。

 

 

 

30年前、京都では茶道は花嫁修業の必須科目だった?!

 

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私は、外国人観光客や初心者の方向けの茶道体験教室を運営していますが、30年前にはそんな教室はなかったと思います。

体験なんて言わなくても、女性は結婚前に茶道の免状を取得するべきという風潮があったので、きっちりと教室に通っていらっしゃる方が多かったのです。

私が茶道体験教室の話をすると、絶対に

「昔はみんな習ってたものねー。お嫁入り前に習うのが普通だったものね。」

年配の京都の女性はみんな口をそろえておっしゃいます。

 

その結果、現在の茶道人口の大半は女性。そして、若い年代は少ないです。

 

華道も同様に、30年前の師範取得の記念写真を拝見すると、写真1枚に収まりきらない数の女性が着物姿で映っていますが、現在は、本当に少ないです。

私が師範を受験したときは、同じ会場の他の受験生は2名でした。

 

 

 

 

 

現代には通用しない「花嫁修業」

 

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まじめに勉強して学生生活を送り、会社で一生懸命働き、婚活もして、だからといって結婚できる保証なんてありません。

30年前は、まだまだお見合い文化があり、釣書に茶道・華道の免状取得と書くことが必要で、それが良い条件として結婚への近道と考えられていたのでしょう。

それが一種女性のステイタスであったのだと思います。

お嫁入り前だから、早くお免状をあげないと!というような風潮も昔はあったようです。

 

しかし、現代で「花嫁修業」だと思って茶道を習うという人は皆無に等しいのではないでしょうか。

私の周りでは聞いたことがありません。婚活として女子力UPするなら、エステやメイク、料理教室の方が一般的でしょう。

もし、茶道=「ステイタス」だと思っているとしたら、それは現代では、逆に敬遠される要素になるように感じます。

 

 

 

 

 

けれど、やっぱり、花嫁修業にはなりえる

 

 

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ステイタス感として、とらえてしまうのは、私も個人的に好きではありません。

私は、OL時代の仕事も、プライベートの生活も、精神的に辛かったので、心を落ち着ける場所、仕事以外の場所がほしいと思い、茶道を習い始めました。

ですので、今も、茶道を純粋な文化として楽しみたい、海外の方も含めて色々な方と一緒に楽しむ時間を共有したいと思っています。

 

その文化というのは、和菓子と抹茶だけではありません。

凛とした静かな茶室、美しく入れられた茶花、季節の変化をとりいれたお道具やお点前・・。きものを着て背筋を伸ばすと、その瞬間だけでも心の持ちようが少し変わります。

茶道は「総合芸術」と言われ、必然的に、掃除、お花の入れ方、器の選び方、生活に季節を取り入れる方法、きものの着方など、日本文化全般を学ぶことができます。

そういう意味で捉え、生活をより豊かに美しくする感覚を身につけるという意味で、「花嫁修業」なら、とても共感できます。

茶道の心や感覚は、生活の中にもきっと生かせます。