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古都 茶会記

気軽に楽しめる茶道と京の徒然

梅と鶯 ~お点前・文学・和菓子~

都の四季 都の和菓子

今年は、暖冬の影響で、北野天満宮の梅も早咲きになっています。

梅と言えば、友達は鶯。

和菓子屋さんでは、うぐいす餅が見られるようになり、茶道のお稽古で「うぐいすの谷渡り」というのをする頃です。

 

 

 

鶯の谷渡り

 

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あまり本に載っていないものですが、梅の綺麗な時期だけのお点前です。

袱紗で折った鶯を水差しにのせて、本勝手から逆勝手*に方向転換するのが見所で、その動きを「谷渡り」と言います。

ですので、棚は使わず、「お運び」で行います。

最後も、袱紗は腰につけず、水差しの上に鶯をたたんで持ち帰り、棗と茶杓の拝見はありません。

本勝手が逆勝手になったりして、頭を使わなければなりませんが、鶯がホーホケキョと鳴いて渡っていくような、初春らしい楽しいお点前です。

 

*本勝手・逆勝手:本勝手は、点前畳(亭主が座る)の右に客畳がくる。お茶会は、亭主は右利きである事が多いので、本勝手で行うことがほとんど。

逆勝手は、点前畳の左側に客畳がくる。

 

 

 

 

 

源氏物語「梅枝」の巻 

 

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梅と鶯は、平安時代から歌に詠まれ、文学にも描かれて来ました。

源氏物語第32帖「梅枝」では、六条院のお屋敷で薫物合わせの夜、内大臣の子息・弁の少将が催馬楽「梅枝」を歌う場面が描かれています。

 

「鶯の声にやいとどあくがれむ 心しつめる 花のあたりに」

(兵部卿の宮)

前から心惹かれている紅梅の花の辺りに、まるで鶯のようないい声で「梅枝」を謡う声を聞くと、いっそう私の心も上の空になる

 

「色も香もうつるばかりにこの春は 花咲く宿をかれずもあらなむ」

(光源氏)

花の色も香りもあなたに染みつくほど 今年の春こそは花咲く我が家へ絶えずお越しになるように。

 

「鶯のねぐらの枝もなびくまで なほ吹きとほせ夜半の笛竹」

(柏木の中将)

鶯のねぐらにしている梅の枝もたわむまで あなたの笛竹を夜通し美しい音の限りを朝まで聞かせてほしい

 

 

 

 

うぐいす餅

 

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うぐいす餅は、お餅屋さんでもよく見かける和菓子ですが、梅が咲く頃、初春の和菓子です。

こちらは、老松さんのうぐいす餅。

ふわふわの求肥生地に、粒餡。きな粉がまぶしてあります。

うぐいす色というと緑ですが、こちらは落ち着きのある、とても上品な鶯です。

よく調べてみれば、梅の花の蜜を吸いに来るのは実はメジロらしく、鶯は、声はよく聞こえるけれど、なかなか人の前に姿を見せないそうです。

本物の鶯も、このような落ち着いた色目をしています。

 

「さきがけ」「花の兄」と言われる梅のお花見をするときは、うぐいすをお供にお家でも一足早いお花見を楽しみたいです。

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